研究内容

研究内容

 この研究室は、日本建築史の研究室です。熊本大学の建築史研究室の歴史は、堀内清治先生の西洋建築史研究にはじまります。日本建築史の本格的な研究は、堀内先生の下から地道にして着実に研究を続けられてきた北野隆先生によって行われるようになりました。私たちは、熊本大学に培われたこの堅実な学風を継承してゆきたいと考えています。

自分が本当に活き活きと生きるために

 若い学生諸君が活き活きとした生活を、今後、建築との関わりながら送ってゆくための基礎をここで養って欲しいと思っています。
 建築に深く関われば関わるほど、本気で知りたいと思えば思うほど、人間に対する深い理解が必要であることがわかってきます。そして、調査・研究に取り組めば実際に理解が少しずつですが深まるような気もします。建築は人間がつくったものだからです。
私たちはできるだけ謙虚でありたいと考えています。先人の営為に敬意をもって対することができて、そこから学びたいという気持ちを持ったあなたならば是非ともに学びましょう。もうわかったと思っている人は来る必要はありません。
 具体的に何を学ぶのか。本来、何を学ぶべきかは自分で決めるものですが、この研究室は、大きく分けて次の3つのテーマをもっています。

1、日本の伝統的な建築や都市(町並み)の調査と研究

 本物の建物をよく見ることが重要で、それを基礎にして研究をします。建築を分析しやすくするために実測して図面を作成したり写真を撮ったりという調査は必ず行います。一方、今残されている建物がこれまでに造られた建物のすべてではありませんから、すでに失われてしまった建物を文献的な史料や絵図などから復原的に考えることも行います。そして、建築から日本の歴史の全体像を検討する根拠を与えたいと思います。

2、図面類(指図・建地割)の調査・研究

 先人達がどのようにして建物を構想し、造ったのか。それを知るために古い建築図面を調べ、分析します。昔の図面も様々な目的で作製され、その描き方にもその時代や大工による特徴があることがわかってきています。

3、日本の伝統的建築に関わった大工などの諸職人の調査・研究

 建物を造る人がどのような人で、いかなる関わり方をして建物ができていったのかを様々な観点から調べ分析します。それはどうしてそのような建物が生み出されたのか、を探る手掛かりともなります。
 3つといっても、非常に幅がありますから、自分のテーマはたいていの場合この中から見出すことができるでしょう。また、この中にないテーマでも意義のあるテーマであれば、もちろんそれで構わないのです。